The Touch 3 | |||
その瞬間、二人の姿はルークの住いの入口に立っていた。 『ルークの部屋は――、ああ、あの子のフォースを感じます』 『子供のころの、アナキンのフォースを思い出すな……』 『クワイ=ガン』 『いこう』 赤ん坊は小さなベットでよく眠っていた。指をにぎりしめ、ときおりこぶしを口元に運んでは、まるで精巧な人形のような小さな口をもぐもぐと動かしている。 『ルークはもう歩くんですよ。起きてる時は大変だけど、寝顔は天使のようだ』 オビ=ワンは目を細めて赤ん坊の寝顔を見下ろした。 と、ルークが口を少し開けて、にっこりと微笑んだ。 『――楽しい夢でもみてるのかな』 オビ=ワンは身をかがめ、やさしい眼差しで赤ん坊をのぞきこんだ。 『目元は父親似かな。口は多分母親。こんな近くで見るのはあずけて以来だから』 『そうだな』 クワイ=ガンも身を少しかがめ、オビ=ワンの後ろからルークをのぞきこむ様に見ていた。 首筋にかかる吐息と、微かに触れる長い髪の感触に気付いてオビ=ワンは思わず振り返った。 『クワイ=ガン……?』 『そろそろ、戻ろうか』 オビ=ワンが肯くとクワイ=ガンが背をむけ、部屋の入口に向かう。オビ=ワンはその後を追った。 2体の青く輝くフォースの姿は、農場の建物の脇に立っていた。 『何もないところだな』 『ええ、土地のほとんどが砂漠と岩山。昼は灼熱の太陽に照らされ夜は冷え込む。水は貴重で植物もわずかしか育たない。辺境の中でも環境の厳しい惑星です』 『ルークは健康そうだ。厳しい環境で鍛えられるだろう』 『あの子ならきっと大丈夫です』 『父親の育った星だ。だが、お前はコルサントのテンプル育ちだ』 『ジェダイは皆そうですよ、あなただって。でも任務中はどこにでも行きましたから、今さら驚きはしませんよ』 『オビ=ワン』 クワイ=ガンは振り返り、オビ=ワンを見つめた。 『お前の金色の髪も、この肌も、この星の強い日差しにさらされれば、おそらくコルサントよりずっと早く衰える』 『早く老け込む、ということですか?』 『ああ』 『いまさらそんなこと、ルークが成長するまで守れる体力さえあれば外見など関係ないでしょう』 『私はお前の外見だけを愛しているわけではないが……』 クワイ=ガンは口元に笑みを浮かべた。 『今にお前が私の歳を追い越すかもしれん』 『ルークが大人になるころ私は――、それは楽しみです。クワイ=ガン』 オビ=ワンは悪戯っぽい目でクワイ=ガンを見上げ、笑った。 『私がマスターより年上に見えるんですか。生きている間は考えられなかったことですからね』 『あぁ、パダワン』 クワイ=ガンは顔をほころばせ、腕を大きくひろげてオビ=ワンを抱きしめた。 『皮肉屋で強情で小さな、わたしのヤングジェダイ』 『それはいくらなんでも昔過ぎます!って、きついです。マスター』 我知らず声をあげたオビ=ワンは、次の瞬間、驚きに水色の瞳を大きく見開いてクワイ=ガンを見上げた。 『マスター、私達は……』 クワイ=ガンもまた、いささか戸惑った面持ちでオビ=ワンを見下ろした。 『不思議なことだが、お前にふれていると、次第に実体に近いような感触が増してくる』 『始めからこうではなかった?』 『さっきお前の肉体から離れた霊体にはじめて触れたときは、僅かな感触だったが、今ははっきり実体に近い』 『私もそうです』 クワイ=ガンは大きな手でオビ=ワンの頬をそっと包んだ。 『お前の頬――』 手を下にすべらせ、指の腹でゆっくりとオビ=ワンの僅かに開かれた薄い唇をなぞる。 『――口』 クワイ=ガンの深青の瞳が見つめている。 オビ=ワンは瞼を伏せ、こころもち顔を上向けた。 と、次の瞬間、降りてきた唇に塞がれた。 何度も啄ばむような口づけを繰り返し、互いの唇の感触を楽しむ。軽く口を突き出して、柔らかな唇に押し当てる。口を開けて息をしながら、上唇や下唇を、口で軽くつまむ。 初めて相手の唇にふれて、驚き、とまどい、あらたな発見をして喜んだ遠い昔のように、二人は久方ぶりにふれる恋人との口づけを楽しんだ。 ややあって、顔を離し二人は見つめあった。互いの背に腕を回ししっかりと抱きあっている。 『――フォースのすることは、いつになってもわからないものだな』 『そのようですね……』 『おそらく、これからも』 『ええ』 クワイ=ガンはオビ=ワンの背を抱き寄せ、優しく額に唇を落とす。 『家に帰ろう』 オビ=ワンはクワイ=ガンの腕の中で肯いた。 タトゥイーンの闇は濃く、オビ=ワンの住いも白い壁が僅かにその輪郭を浮かび上がらせていた。中に戻った二人はベッドに横たわるオビ=ワンの身体の傍らに立っていた。 『自分の姿を見るのは、やはり変なものですね』 『私は経験がないが、ヨーダもそう言っていた』 『どうすれば戻れますか』 『自分の身体を見て戻ろうと思えばいい』 『こう――』 その瞬間、オビ=ワンの青く透ける姿はかき消えた。 仰向けに横たわっていたオビ=ワンが軽くうめき、みじろぎした。ついで、ゆっくりと湖水色の瞳が開けられ、濃い金色のまつげを震わせて、数回まばたきする。上を向いていた顔をめぐらし、ベットの傍らのクワイ=ガンの姿を認めて、安堵したように微笑んだ。 「どうやら無事もどれました」 『初めてにしては、少し長かったな。よく休んだほうがいい』 クワイ=ガンは起き上がろうとするオビ=ワンをしぐさで制した。 「ではこのまま失礼します。マスター」 『お休み』 「お休みなさい。あ、クワイ=ガン」 『何だ』 「明日からも同じトレーニングですか?」 『お前の様子を見て、大丈夫のようなら続けよう』 「わかりました。いずれもっと遠くにも行けますね」 『ああ、それに私も――』 クワイ=ガンは口の端をちょっとあげてオビ=ワンを見た。 『フォースになってからあれ以上の触れあいはなかったので、先が楽しみだ』 「マスター……」 オビ=ワンの白い頬が、闇の中で薄く染まっていった。 End とにかく師弟のタトゥイーン生活は妄想しほうだいなんですよ!とはいえ、元のクワオビも、根も葉もある(?)妄想の産物なんですが(笑) 再会できても、見つめ合うだけ(笑)じゃ、さびしい〜とか、旧作のオビ(ベン)はマスターの没年より若いはずなのにふけてるよ〜とか。こじつけ、いや、妄想妄想――。 |
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