Twins

 どんな理由があろうと言い訳されようと、師の拾い物癖には黙っていられないオビ=ワンだったが、今回は様子が違っていた。

 任務の合間に補給に立ち寄った辺境の惑星で、戻って来たクワイ=ガンが抱えてきた物を見たオビ=ワンは身を見張った。
「これは何ですか、マスター?」
「卵だ」
 形はどう見ても白い卵だが、大きさは一抱えもあった。楕円型のウォーターメロンぐらいか。しかもそれをふたつ、クワイ=ガンは大事そうにタオルでくるんで籠に入れて持ってきたのだ。

「見ればわかります。で、何の卵なんですか?」
「盗まれたアルタイ星人の卵だ。親の元へ返さねばならん」
「アルタイ星人って、あの……?」
クワイ=ガンは重々しく肯いた。
「卵生のニューマイノイドという珍しい種族だ」

 惑星アルタイはミッドリムにある小さな星だ。気候は寒冷で氷河も多い。厳しい環境のせいか繁殖率が低く人口も少ない。いつこういった進化の過程があったかは謎だが、身篭った妊婦は早期のうちに掌大の卵を産み、次第に成長して数ヶ月して孵化、つまり赤ん坊が誕生する。母親は授乳時期だけ乳房が発達して子供に母乳を与え、離乳すれば後は他のヒューマノイドと同じように発育成長する。

「それはわかりました。で、何故この数時間の間にマスターがこの卵を持ち帰るはめ、いえわざわざ、マスターが、親元へ返すことになったんですか?」

ほんの、ほんの2時間、マスターが諸手続きと連絡、自分が物資や食料の補充にと別行動した間に、又めんどう事を持ち込むことになったのか。しっかり聞いておかねば、今後の予定にも大いに影響があるかもしれない。いやあるに違いない。

「別に私から進んで首を突っこんだ訳ではない」
それだけはわかってくれ、と言い訳がましくクワイ=ガンは語りだした。宇宙港の入国審査ブース付近にいたら、突然銃声がし、数人の不審者達をセキュリティガードが追ってきた。クワイ=ガンが逃げてきた者達を捕えて引き渡したら、職員にジェダイと知って強引に引き止められ、この窃盗及び密輸しようとしていた物の相談を受けたという。

「アルタイ人は一回にたいてい2個、それも男女の卵を産むんだが、器量がいいので密かに養子にしたい金持ちに高く売れるそうだ。卵を盗んで、親が身代金を払えれば返す場合もあるが、たいていはそのまま仲介を通して売るらしい」
「ひどい話ですね。それで、両親はわかったんですか?」
「ああ、幸い連絡がとれた。直接ではないが、惑星アルタイの警察へ問い合わせたら該当する人物がいたんだ」
「マスター、まさかこのまま惑星アルタイへ――。この船では急いでも半月かかりますよ」
「いや、中間位置の惑星ベガで落ち合うことにした。1週間程度だろう、航路を計算すれば正確な所要時間がわかる」
「――あえて、言わせていただきますが、マスターが運ばなくても、親がここまでくるとか、他の方法もあったと思います」
「むろん、私もそう思った。ところが」
「なんでしょう?」
「そう、けんか腰でいうな」
「いまさらけんかしても、あなたが引き受けた以上仕方ないでしょう。で、なにか訳があるのなら伺いたいですね」
「予定日が近いのだ」
「は?」
「産んだ日から計算して明後日が孵化、つまり生まれる日だ。一刻も早く母親に逢わせなくてはならんのだ。交渉したが、ここではすぐに卵を運ぶ手段がない」
「明後日!間に合わないじゃないですか。どうするんです?」
「数日間なら人工栄養でなんとかなるそうだ。つまり、他に方法がないのだ」
「カウンシルから予定変更の許可をとったんですか?」
「これは人命救助にあたると報告しといた。無事親へ渡したら、改めて連絡することにした」
「……」

 オビ=ワンは、脳裏に浮かんだカウンシルメンバーのあきれ返った表情を頭を振って打ち消した。勝手な数日の予定変更のおかげでさらに任務が増え、テンプルへ戻るのが予定より大幅に遅れることは確実だ。
眉を寄せ、黙り込んだ弟子の顔色をうかがいながらクワイ=ガンは声をかける。
「パダワン?」
「――わかりました。ではまず、惑星ベガへの航路を計算してみます。それと、アルタイ人の卵の世話の仕方を調べなくてはなりませんね。」
オビ=ワンはそう言うと、操縦室へ向けてきびすを返した。後ろで師の安堵する気配がありありとわかったが、せめてもの抵抗に無視してやった。


 固定した軽くて丈夫な収納ケースにバスケットごと卵を入れ、リビングに置いた。
「本当に特異なんですね」
まだ機嫌がすっかり直ったわけではないが、するべきことがあれば、オビ=ワンは熱心に取り組む。新しいアルタイ人の誕生に向けて、出来るだけのことをしようと決めたらしい。クワイ=ガンは、よけいな手間をとらせてすまないと思いながらも、一旦決めたらいきさつはどうあれ最善をつくす弟子の姿を嬉しく思う。まあ、しばらくはオビ=ワンに合わせるのがベストだ。

「普通、卵は親が生んだ大きさが変わらないものですが、アルタイ人は3ヵ月の間に成長してこんなに大きくなるんですね。水分を与えれば、具体的には水を卵の表面に吹き付ければ、胎児は卵内部の栄養を取り込んで大きくなるそうです」
「私が預ってからやってないぞ、いいのか?」
「えーと、孵化予定日近くなると、もう内部で充分育っているので水分は必要ないとあります。あとは冷さないようにしておけばいいそうです」
「そうか」
「殻にひびが入ってから通常は1時間ほど、長くても数時間で殻が割れ、赤ん坊が出てきます。その時包んでいた羊膜が破れ羊水が流れるので、速やかに子供をとりあげ、身体を拭いてやらねばならない、だそうです」
「必要なものは」
「ベッド代わりにこのケースの底にマットレスかクッションを詰めましょう。あとはタオルがたくさんあれば間に合いそうですね。哺乳瓶、人工栄養、肌着、おむつ、ガーゼ――」
「人工栄養だけはとりあえず聞いたとおりに仕入れてきたが、他は孵化するかどうかわからないだろう?」
「いくら予定日より遅れることがあるといっても、生まれた場合の準備は必要です。まだ時間大丈夫ですね。もう一度降りて揃えてきます」
「どこで買うんだ」
「知りません。でも空港のインフォメーションできけばわかるでしょう」
オビ=ワンはローブを引っ掛け急ぎ足で出て行った。ほどなくして、大きな荷物を抱えて戻って来た。

「卵に変わりはありませんか?」
クワイ=ガンの顔を見るや、真っ先に卵の様子を聞く。肯いたクワイ=ガンに結構というように肯き返し、ではとオビ=ワンはおもむろに言った。
「準備が出来次第、出発しましょう」


 任務によってジェダイの移動手段もさまざまだが、最近は小型宇宙船で師弟二人きりで行き来するケースが多い。
今回の移動もそうだったが、世話のいらない物言わぬ卵であっても、生きものが側にいるだけで、気の配りようが違ってくる。リビングで作業や食事をしていても、つい目が卵にそそがれる。いつもなら、狭いながらも心置きなく愛しあうベッドにクワイ=ガンが独り寝することになった。オビ=ワンが変化があればわかるようにリビングのソファで寝ると言ったからである。
「船室にいてもわかるだろう」
「そうもいかないでしょう。数時間で殻は割れるそうですから、側にいないと」
こうして、万全の準備を整え、惑星ベガを目指すうちに、予定日は過ぎていった。


「――こちら、アルタイの――です。ジェダイマスター、クワイ=ガン・ジン。応答願います」
予定日を過ぎ、目的地まであと2日という時、通信がはいった。
「イエス、こちらクワイ=ガン。子供達はまだ卵の中です」

 モニターに二人の人物が現れ、子供の両親と告げた。男女には違いないのだろうが、ともに長い金色の髪で薄い瞳、透き通るような白い肌のすらりとした体つき。アルタイ人の特徴なのだろうか、似通った二人は中性的な雰囲気をただよわせており、通常のヒューマノイドから見れば、夫婦というより血の繋がった兄弟のようにさえ見える。いくらか体型と身長に差があり、少し背の低い、柔らかな長い巻き毛の澄んだ青い瞳の人物が母親と名乗った。

「やっとあなた方と連絡がとれました。子供達はまだ生まれていないのですね」
「ジェダイに保護していただけるとは、本当に幸運でした」
父親は、妻よりはやや濃い金髪で、ダークブルーの瞳だった。
クワイ=ガンがこれまでの経緯や卵の様子を話し出すと、安堵と感激の余り涙ぐむ妻を、夫は後ろから支えるようにやさしく抱きしめた。


「向うの飛行も予定通り順調だ」
オビ=ワンは助手席から立ち上がった。
「アルタイ人というのは、とても特徴的ですね。確かに子供達は器量良しでしょうね」
「昔はアルタイ人のジェダイもいたそうだが、最近は聞かないな。フォースセンシティブはごく稀だが、アルタイではテレパシストは他より多いと聞いた事がある」
「そうなんですか。卵の、子供達の様子をみてきましょう」
卵にまだ変化はなく、出来ることなら両親の手に還ってから生まれて欲しいと願いながら、その晩、クワイ=ガンは船室に、オビ=ワンはリビングで眠りについた。


「――マスター、起きていただけますか?」
オビ=ワンの低い声にクワイ=ガンは目覚めた。
「起きる時間か?」
「卵にひびが入りました」

 リビングに入ったクワイ=ガンが卵に寄ってみると、小さくはっきりと割れ目が出来ていた。
「普通なら1時間、長くても数時間、だったな」
「いよいよですね、マスター」
といっても、準備は整っているし、いまは待つだけだった。
それでも、生命の誕生に立ち会える機会に二人とも目が話せない。並んで、ソファにすわり、様子を見守る。
「誰かに呼ばれたような気がして、おきたんです」
「呼ばれた?」
「卵の中から音がしたわけでもなさそうですが、気になってたからでしょうか?」
「ひびが広がってきたぞ」
「ああ」
ゆっくりと、だが確実に割れ目は広がり、そろそろ、と思ったとき、水、羊水が溢れ出し、殻の上がはずれ、肌色の小さな姿が現われた。
「生まれた!」
抗菌服を着たオビ=ワンが生まれたての赤ん坊を抱き上げた。小さな身体は手足を縮め、震えている。オビ=ワンはとっさに側に用意したガーゼをとって、口にいれた、と赤ん坊は羊水を吐き出し、元気な産声を上げた。
「やったな、オビ=ワン!」
「マスター」
二人は目を見交わして肯いた。

 オビ=ワンは細心の注意を払って、生まれたての繊細な肌を拭いた。
「ようこそ、おちびさん。――男の子なんだね」
すると、初めて赤ん坊が目を開けた。まだ見えない瞳で、それでも声に反応したのか、オビ=ワンを見上げた。
「やあ、お母さん似のきれいな青い目だ」
赤ん坊の大きな澄んだ瞳を見ながら、オビ=ワンはにっこりと微笑んだ。
「オビ=ワン、こっちの卵もひびが入っているぞ」
「もうすぐ兄妹が生まれるんだ。いい子で待っていてくれるかな」
せわしなく動いていた赤ん坊は、欠伸をしておとなしくなった。
そうして、数時間後、こんども無事にアルタイ人の遺伝通りに女の赤ん坊が誕生した。


「片手にすっぽりと赤ん坊が入ってしまいますね、マスターの手」
そう言われて見れば、確かにクワイ=ガンの大きな掌で嬰児の肩から後頭部を支えて抱くと、そんなふうに見える。兄より少し瞳の色が濃い元気な妹は、オビ=ワンが身体を拭く間、ひとしきり動いてから、クワイ=ガンの腕の中でおとなしくなった。
「変か?」
「いいえ、とても頼もしい父親ぶりですよ」
「――孫ほどの歳なんだが」
「まず、父にならなければ孫はできないでしょう?」
「そうだな」
オビ=ワンが赤ん坊を抱き取ろうとクワイ=ガンの胸の前に身体を寄せ、見上げて笑う。
その青緑の瞳に魅入るようにクワイ=ガンは身を屈めた。吸い寄せられるように二人の顔が近付き、唇が重なった。
互いの息づかいだけを感じるそのひとときは、二人に挟まれた赤ん坊がむずがりだしてやっと破られた。


 惑星ベガに到着するまであと1日。半日前に生まれた赤ん坊は腹をすかして泣き出した。
マニュアル通り人口栄養を用意して、オビ=ワンは授乳を始める。
「はいはい、おまたせー」
赤ん坊達は揃って大声でないている。
「二人分作ったから大丈夫だよ。マスター、片方お願いしますね」
オビ=ワンは一人を抱き上げ、クワイ=ガンに渡すと、師の大きな手に哺乳瓶を押し付けた。
自分も、もう一方を抱き、腰かけて哺乳分を小さな口にあてがった。
「そんなにあわてなくても逃げないからね。落ち着いて飲んで」
あやしつつ、オビ=ワンは赤ん坊の様子を見ながら哺乳瓶の角度を動かしている。
クワイ=ガンは始めうまくいかなかったが、オビ=ワンをまねてやってみると、どうやら赤ん坊が吸い出した。

「まさかこの歳で、こんな経験をするとはな」
悪戦苦闘、とまではいかなかったが、なにせ師弟にとっては初めてのことで、それでも何とか授乳を終え、オビ=ワンがオムツを変えてようやく双子は静かになった。
「マスターにも全面協力していただかないと、今回の拾い物は、私の手には余りましたからね」
「パダワン!」
「わかってます。親の元へ還すのだから、違うとおっしゃりたいのでしょう。でも思ったより大変だったのは否定しませんよね」
「――わかっている。お前がいなければ、私だって引き受けられなかった」
「実の親へ渡すまではまだ安心できません」


 弟子が言ったとおり、僅か1日とはいえ、生まれたてのしかも双子の世話がどんなに大変か、クワイ=ガンは身をもって知ることになった。
おとなしいのはホンのいっときで、数時間ごとの授乳と排泄の世話。むずかったり泣いたり、必要な宇宙船の操縦や通信意外は自分達の食事もそこそこに、オビ=ワンは休む暇なく動き回った。

 落ち合う予定の双方の操行は順調で、惑星ベガの宇宙港とも通信を終え、クワイ=ガンは操縦室からリビングへ戻って来た。
「予定通りだ。あと1時間で到着する」
授乳を終えた赤ん坊達の一人はすでにベッドで目を閉じており、もう一人をオビ=ワンが抱いて寝かしつけようとしていた。
「こっちは男の子だったか」
「そうです。髪が少し違いますから」
赤ん坊は瞳の色と髪の具合で区別できた。もっとも二人とも、まだごく薄い綿毛のような金糸の髪がふわふわと生えているだけだった。

「もうすぐパパとママに会えるよ、坊や」
オビ=ワンはまだ見えない瞳で見上げている赤ん坊に話し掛けた。
「短い間だったけど、会えて嬉しかったよ、おちびさん」
無言でこちらを見ている師にオビ=ワンは照れたように言う。
「――ジェダイは自分の子を抱くことはないですが、親になる気分ってこんなものでしょうか」
弟子の言葉を聞いたクワイ=ガンは、何故か不思議な気分を味わっていた。

「――どちらかといえば、お前は母親のように見える」
「わたしは男ですよ」
「いや、彼女がどことなくお前に似ているような気がしてな」
「髪や目の色ですか。確かにこの子とは似てますが」
オビ=ワンはちょっと微妙な表情で、それでも嬉しそうに抱き上げた赤ん坊の顔をのぞきこんだ。
「寝た、かな?」
クワイ=ガンは気付いた。容姿よりも、むしろオビ=ワンのその仕草が母親のようだった。
オビ=ワンは寝ついた赤ん坊を注意深くベットに下ろし、そっとタオルをかけた。


 ベガの宇宙港で待ち受けたアルタイ人の両親は赤ん坊と対面した。
「間違いなく、待ち望んだわたし達の子供です」
美しい母親は金色の長い睫毛をふるわせて、赤ん坊を抱きしめた。

 彼らの話によれば、卵で母体を離れる子供はたとえ親から引き離されても、ジェダイならフォースの絆というところの言葉ではない繋がりがあり、決して親は自分の子供を間違わないという。子供が孵化、卵から出る時の中からの合図も母親はわかる。
「あなた方がジェダイだから、この子が生まれる時呼んだのを感じ取ってくれたんですね」
言葉につくせないと感謝するアルタイ人の両親に無事子供を渡し、時間がなかった為、師弟は別れもそこそこに飛び立った。


 赤ん坊の為に用意した物はいっしょに渡したので、船の中に残っているのはほとんどなかった。が、航路を次の任務地へ向けリビングへ入ると、ベッド代わりにしていた大きなケースだけが、がらんと残されていた。
二人の泣き声が響き、赤ん坊の世話に翻弄されていた事がほんの数時間前とは信じられないような静けさが室内に漂っていた。

「――嵐のようだったな」
「そうですね。まるで、夢のようです……」
「オビ=ワン」
空のケースを静かになでる弟子の肩に、クワイ=ガンはそっと手をのせた。
「けっこう楽しかったですよ。でも、赤ん坊の拾い物はたとえ元が卵でももう結構です」
「わかった」

オビ=ワンは振り向き、感傷を振り払うように明るく言った。
「とにかくひと眠りしますか、それとも何か食べます?」
上目遣いに聞いてくる弟子のブレイドの先をとり指先で弄びながら、クワイ=ガンは言い放った。
「出来れば、お前を食べたで後ぐっすり眠りたい」
「マスタッー!」
「その前にお前の腹を満たさないと、赤ん坊でなくても機嫌が悪くなるのはわかっている」
「――まったく冬眠前の熊じゃあるまいし」
赤くなった顔でクワイ=ガンを睨み、ぶつぶつと呟きながら、オビ=ワンは足早にキッチンスペースへ向った。




End

【おまけ】 
            ちょっとシリアス……
               ↓










































「金色の髪、青い瞳。ルークはあなたの子供のようですね。オビ=ワン」
パドメの急死の衝撃から、ようやくオビ=ワンが立ち上がって残された双子の様子を見に行き、その部屋を出たところで声が掛かった。
「オーガナ議員!?」
「いや、申し訳ありません。あなたが高潔なジェダイということはよくわかっています。だが、この子達が、あの男の血を引くよりはあなたの子だったら、と思ってしまうのです。もしそうだったら、どんなにか残された者が喜ばしいか」

共和国とジェダイを裏切ってダークサイドに墜ちた男より、生粋の素晴らしいジェダイマスターと高貴な女性を両親に持つほうが望ましい、とベイル・オーガナが思うのも無理はない。
「二人は許されないと知りながら深く愛しあった、その子供達です」
「わかっています。この子を育てるのに、既に亡くなった者の影がさすことはありません。妻と二人で愛して育てます」
「レイアをお願いします」

 おぼろげな記憶が甦る。昔、まだクワイ=ガンの弟子だったころに僅か数日関わった双子の赤ん坊。あの子供達は両親の元で元気に育っているだろうか。

  生まれたその時から両親を失った双子、ルークとレイア。背負った運命は余りにも重い。引き離されそれぞれ義理の親のもと、異なった環境で育つ事になる。一方はプリンセス、もう一方は辺境の農夫の子として、本当の素性を隠され、知らされることもなく。

 オーガナの言ったように、ありえない事だが、もしオビ=ワンの実の子だったら、決して手放しはしない。どんな追っ手がかかろうと振り切り、我子を守って育ててみせる。
だが、あの双子はアナキンとパドメの子だ。レイアはオーガナ夫妻に預け、母親のように誇り高く聡明な女性に。ルークはアナキンの生まれ育った砂漠の惑星で義理の伯父夫婦に。その先何が待ち受けているかは、フォースに委ねよう。自分は、ルークから目を離さず成長を見守ろう。

 マスター、とオビ=ワンは側に居なくなってから久しい人に心で呼びかける。私達は血を分けた子供を持つ事はかないませんでしたが、双子はいわばあなたの孫、わたしにとっては甥と姪のようなものです。見守ってくれますね。
返事はない。しかし、オビ=ワンは尚もかつての師に呼びかける。
あなたはその義務があるんですよ。なんといっても、アナキンはあなたが拾った子供なんですから。遠い日を思い出したオビ=ワンの口許にはやっと微かな笑みが浮かんでいた。



End

  以前公開されたマスター(リ@ム氏)と生まれた赤ちゃんの写真、あの大きな手にホントすっぽり赤ちゃんの頭納まってる!可愛い〜、親子どっちも(笑) でもあの両親の遺伝では成長したあかつきには絶対のっぽさんになると思われます。
ルーク、身長はアナキンじゃなくてパドメ似だったんだね。

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