The Best | ― 最高の贈物 ― ※ 恋愛未満 |
それを亡くしたと知った時、オビ=ワンは文字通り顔色を失った。一昨日までは確かにあった。眼で見、手で握り、感触を確かめた。 午後の訓練の為に着替えた際、いつも入れておくチュニックの内ポケットにあった。ほどけた組紐の先が覗いていたので、ふと、入れ物の布の袋を取り出して見ると、口を結んで長めに垂らしてある紐が擦り切れそうになっていた。もともと細くて丈夫そうではなかった。替えたほうがいいかなと思い、又、袋ごとポケットに戻した。 それは、オビ=ワンが13歳の誕生日に、マスターのクワイ=ガンからもらった小石を入れて置いた小さな布の袋だった。ジェダイの師弟は、弟子の13歳の誕生日にマスターがパダワンに特別な贈物をする慣わしがある。 何度も拒否されたオビ=ワンが、やっとクワイ=ガンのパダワンになれたのは13歳になる寸前だった。なりたての師弟はまだ互いの事を良く知らなかったし、テンプルを遠く離れた辺境の任務地にいたため、特別な贈物など準備する暇もなかった。 それでもオビ=ワンは子供らしく、マスターから何を貰えるか少しは期待した。が、クワイ=ガンがオビ=ワンに送ったのは、故郷の川で拾ったという小さな石、のみだった。オビ=ワンは初め少しがっかりしたが、すぐにクワイ=ガンが長年持ち物としていたというその石を気に入った。 表面がなめらかで、手に馴染む黒いなめらかな小石は、陽にかざすと、きれいな赤い筋が入っているのが見えた。オビ=ワンが任務中に浚われ、機械操作で記憶を失いそうになった時、石を握り締めてフォースを集中させ、何もかも忘れそうになるのを防いだことがあった。それ以来、オビ=ワンにとって大事な御守りになっていた。 あれから2年、師弟の歩みは平坦ではなかった。むしろ二人の絆は危機にさらされ、一度は壊れた。オビ=ワンがクワイ=ガンに逆らって、ある任務地に残ると宣言した為、師弟は決別した。深く心が傷ついたオビ=ワンを、クワイ=ガンが迎えに入ってテンプルに戻ってきてからも、二人の溝は深かった。 それを互いに、己を反省し、相手を慮るという努力と忍耐を重ね、長い辛い時を経て、ようやく二人は、以前にはなかったほど理解し会え、信頼できる師弟となった。 普段は任務でほうぼうの惑星を忙しく飛び回っているが、テンプルに戻ってもオビ=ワンは忙しかった。一人前のジェダイナイトになるにはマスターに付いて現場で経験を重ねる他に、テンプルでは学生として多くの講義や訓練を受けねばならない。友達との付き合いもあるし、多感で好奇心旺盛な少年達にとっては、テンプルのある惑星コルサントは先進文明の中心であり、さまざまな文化や刺激に満ちている。 訓練が終わって着替えた時は確かめなかった。でもあそこで無くす筈はない。あの後、時間があったので、テンプルの外、シティへ出掛けた。新しい袋を買う為に。 今の袋は、任務地のバザールで求めたものだった。師に小石を送られた後、何か入れる物が欲しいと弟子が言ったため、二人は空港近くのバザールの雑貨店に立ち寄り、クワイ=ガンがオビ=ワンに選ばせた。多分、子供用の財布か何かだったのだろう。オビ=ワンがマスターに物をねだったのは始めてだった。 何の変哲もない、紐の付いた青い布袋を買って貰い、小石を大事そうに中に入れたオビ=ワンは紐を引いてしっかりと口を閉じ、これで大丈夫だというように、マスターを見て嬉しそうににっこりした。普段あまり表情を面にださないクワイ=ガンは、弟子になったばかりの少年の子供らしい仕種に微笑ましくなり、自分もオビ=ワンに笑いかけた。 オビ=ワンはあまりシティには慣れていなかった。マスターや友人と来たことはあっても、一人ではほとんどない。第一、代わりの新しい袋をどこで買えるか知らなかった。だが、繁華街の中心部にある、あらゆる物が揃っているという巨大ショップに行けば見つかるだろうと思った。 値段など見当もつかないが、高いものでもないだろう。小遣いで買えるものにすればいい。乗物を降りて、ショップの近くまで来た時、コムリンクが鳴った。 クワイ=ガンからだった。訓練が早く終わると言っていたから、馴染みのディディの店に行かないかと言う。弟子に用事が済んだら来る様にと言って通信は切れた。 オビ=ワンは少し考え、クワイ=ガンを待たせないように、予定を変更することにした。袋は今日でなくてもいい。オビ=ワンはショップに背を向けた。 それが一昨日。昨日は訓練はなく、講義のみだった。朝出掛け、昼食堂に行った他はどこへも寄らず、夕方部屋にもどってきた。 そして今日、洗濯の為、ポケットの中の物を出したとき、小石をいれた袋が無いのに気付いた。まさか、と思い、すべてのポケットを念入りにひっくり返す。次いで持っている全部の衣類のポケットを探る。そんな筈がないという思いと、感じ始めた不安が次第に膨らんでいく。 ――無いはずが無い――。オビ=ワンはユーティリティベルトの小物入れや部屋中のバッグを文字通り、ひっくり返した。 見当たらない。オビ=ワンは机の引き出し、クローゼット、ベッドの下まで、部屋中を隅々まで探し回った。 どうしてないんだ。いったいどこにいったんだ。落ち着けオビ=ワン、落ち着いてよく思い出すんだ。 自分に言い聞かせながら、それでも自室を出てマスターと共用のリビング、キッチン、バスルームの床まで跪くように捜した。 それでも、探し物は見つからなかった。 「クワイ=ガン、何が気がかりなの。オビ=ワンに何かあった?」 タールに声を掛けられ、我知らず考え込んでいたクワイ=ガンは、顔をタールに向けた。 「君は、何故あの子に何かあったと思うんだ?」 だって、とタールは光を映さない瞳をクワイ=ガンに向けて小さく笑った。 「あなたが、そんな風に気にするって、オビ=ワンの事に限られるのよ」 クワイ=ガンはお茶のカップを取り上げ、一口飲んだ。 「最近、オビ=ワンの様子がおかしい」 「どんなふうに?」 「普段通りにしているが、何か気に掛かる事があるようで、それを私に知られまいとしている」 「読んだの?」 「偶然垣間見た、というところかな。私といる時は、ずいぶん注意を払っているがね」 「何かはわからない?」 「ああ」 「最近はずっとうまくいってたじゃないの。オビ=ワンに聞けないの?」 「うまくいってるし、信頼してる。だが、どうも隠してるというよりは――」 「何なの」 「落ち込んでいるようだ。強いて聞き出せば、あれが気の毒だ」 「でも、あなたはやっぱり気になると」 タールの指摘に、クワイ=ガンは苦笑しながら再びカップを口に運ぶ。 「前にも言ったけど」 タールはクワイ=ガンの手を軽く叩いた。 「あなた達師弟は似た者同士だから。あの子はあなたに心配掛けまいとして隠している。 あなたはわかっていながら、聞かない。ちょっとした我慢比べね」 「君が何を言いたいかはわかってる」 「クワイ=ガン、あなたって頑固者よ。あなたの弟子もね」 夕方、オビ=ワンは生徒がとっくに引き上げて人気のない訓練室のロッカールームにいた。 無くしたと気付いた時から、オビ=ワンはそれを探すために考え付く限りの場所を探し、記憶を呼び覚ます為に瞑想もしてみた。が、甲斐はなかった。 訓練室の管理係に落し物を問い合わせたがないと言われた。それでも諦めきれなくて、自分でもう一度納得いくまで捜そうとうやって来たのだった。 オビ=ワンはまずフォースを使って石を探せないかやってみた。以前、自分のフォースに良く同調したからだ。深く息を吸い、目を閉じて室内にその気配がないか探る。しばらくそうしていたが、何も感じられなかった。まだ未熟な自分はフォースで捜せないのかも知れない。オビ=ワンは今度は家具や物を片付けながら、どこかに落ちていないか探し出した。 「そこにいるのは、誰かね?」 音も無く大きな影が近づき、オビ=ワンは驚いて振り返った。 「アリ=アラン」 テンプルの幼い子供たちの保育をしている長身のやさしいジェダイだった。 「オビ=ワンじゃないか。何か忘れ物でもしたかね」 「大事な物を、ここで落としたかもしれないんです」 オビ=ワンは、今まで誰にも言えなかったことを、ふいに目の前の男に話したい衝動にかられた。この穏やかな人なら聞いてくれそうな気がした。そして、話し出した。 アリ=アランは黙って、最後まで少年の話を聞いてくれた。そして、心当たりはないが、と言った。 「残念ながら、今のところは子供たちが拾った様子も、話題になった覚えも無いが、袋に入れてあるのなら、拾っても粗末にはしないだろう。明日、子供たちに聞いてみよう」 「ありがとうございます。アリ=アラン」 「君の大事なものだ。きっと見つかる」 オビ=ワンが丁寧に礼をして部屋を出ようとすると、男が呼び止めた。 「ところでオビ=ワン、君はその小石の他にマスターから何か贈られたのかね?」 「マスターからですか?いいえ」 「任務中だったといったね。では、次の歳の誕生日は」 「ええと、いえ、特にありませんでした」 「クワイ=ガンと君は忙しかったからね。これからはきっと良い事があるよ」 慰められ、オビ=ワンはアリ=アランに笑顔で礼を言い、部屋を後にした。 残されたクワイ=ガンに似た長身の男は、少年の出ていく姿を見送り、頭を振った。 「――それにしても、あの男は変わり者だと言われるとおり、パダワンへの贈物が石一個とは。何の不満も言わず、それを亡くして捜す弟子も何やら気の毒な……」 オビ=ワンが住いに戻ったのは、とうに陽が落ちた後だった。今日は師が出かけて遅くなると言った為、講義の後、シティに出かけ、一縷の望みを託して、あの日の道筋を丹念に辿ってみたのだった。が、やはり見つからなかった。 「今帰りました」 オビ=ワンは小声で言って室内に入った。が、留守のはずの室内には灯かりが点き、見知った気配がする。 「マスター、あ、あの戻っていたんですか。遅くなって、すみません」 奥からクワイ=ガンが出て、オビ=ワンの前に立った。 「構わんよ。予定より早く帰ってきた。私は食事は済ませてきたが、お前はどうだ」 クワイ=ガンは、常よりずいぶん遅く帰ってきた弟子の様子を見た。 肩を落とし、疲れて帰って来たところに、思いがけず自分を見、あわててそれを顔に出すまいとしている。 「まだのようだな」 「あ、いえ、暖めればすぐ食べられるものがありますから」 「では、私が用意しよう」 「いいえ。マスターにそんなことしていただくわけには」 オビ=ワンは思いがけない事に驚き、あわてて辞退する。 クワイ=ガンはその口調に苦笑したが、オビ=ワンの寒そうな姿に気づき、僅かに眉をひそめた。 「わかった、パダワン。だが、食事の前に熱いシャワーを使ったらどうだ?」 促されて、バスルームへ入ったオビ=ワンは、いつもより優しく感じられるクワイ=ガンの態度に驚きながらも、うれしさがこみ上げてきた。 ――きっと良い事があると言われてすぐに、嬉しいことがあった。けど、もしマスターは僕が石を亡くしたと話したら、がっかりするだろうか。それとも、許してくれるだろうか。気にしなくてもいいと言ってくれるだろうか―― 熱いシャワーでいくぶんリラックスし、リビングに入ったオビ=ワンは香ばしい匂いに気付いた。 「マスター?」 返事がし、クワイ=ガンがキッチンからそのいい匂いのする器を持って表れた。 「熱いぞ。気をつけろ」 いつも弟子の座るテーブルの前に、トレイごとグラタン皿を置いた。 オニオングラタンだ!少年の顔がぱあっと輝く。 オーブンから出したてのグラタンはまだふつふつと音がしている。あめ色のオニオン。こんがりと焼き目のついたトーストの上に乗ったとろりと溶けたチーズ。 「これ、マスターが?」 オビ=ワンは信じられない物でも見たように、眼の前の皿とクワイ=ガンの顔を交互に見ている。 クワイ=ガンがいくぶん照れを滲ませて頷く。 「難しいものじゃない。待っている間に玉ねぎを炒めていただけだ。お前はちょうどいい具合に帰ってきたな」 師はオビ=ワンに食べるように身振りで勧める。 弟子はそれでも手を出さずに、皿を見つめている。 「どうした。猫舌だったか?パダワン」 オビ=ワンはあわててスプーンを取り上げた。 「いただきます。マスター」 すくうと、溶けたチーズと玉ねぎが糸を引く。口に入れたとたん、舌を焼く熱さに思わず口を開けて息を逃がす。とろりとした香ばしい塊りが舌から咽へとすべり、熱い塊りが咽の奥へと飲み込まれる。 湯気のせいか、鼻水や涙まで出そうになる。オビ=ワンはあわてて手で目元や鼻をぬぐった。 「――おいしいです。すごく」 オビ=ワンはそれ以上言葉を継ぐ事無く、何度も鼻をすすりながら、ふうふうと息をふきつつオニオングラタンを食べ続けた。 クワイ=ガンは僅かに目を細め、黙って弟子の少年のその様子を見ていた。 食べ終えた食器を片付け、二人分のお茶を入れたカップを持ってオビ=ワンはリビングに戻って来た。頬にはばら色の赤みがさし、表情もずっと落ち着いていた。 「充分食べたか?」 「もう、お腹いっぱいです」 「元気がないときは、うまい物を腹いっぱい食べるに限る」 「マスター!?それで僕に」 「元気がもどったか」 オビ=ワンはこっくりと頷いた。 「では、良かった」 「マスター、あの話したいことが」 「ああ、聞こう。パダワン。だが、その前に、お前への届け物を預っている」 クワイ=ガンは懐から小さな包みを取り出した。 「マスター・キーラが辺境のターミナルの惑星でガレンに会って、テンプルに戻ったらお前に渡してくれと頼まれたそうだ」 ガレンは数日前、マスターと共に任務に出発していた。 包みを見たとき、オビ=ワンの眼は驚きに見開かれた。中身は見なくとも、フォースが感じられる。この中にはもしや。 オビ=ワンは急いで包みを開ける。見慣れた布の袋が現れた。震える手で紐を解き、中を開けると、まぎれもなくあの小石、オビ=ワンが13歳の誕生日にクワイ=ガンから送られた黒い石が入っていた。 オビ=ワンは手の平に小石をのせ、ほとんど重さもないその感触を確かめるように、数回、手を握ったり開いたりした。 確かに、戻って来た。僕の大事な物。知らず、長い安堵の息が漏れた。 次いで、疑問が頭をもたげる。 「でも、何でガレンが」 独り言のような呟きを、クワイ=ガンが受け止める。 「ガレンから言伝がある。出発の前の日、お前とトレーニングをしたろう」 「はい」 「着替えの時に、側に脱いでおいた服から袋ごと落ちたんじゃないか。ガレンのチュニックに袋の紐が絡みついて付いていたそうだ」 「え、そんなこと」 「気付いたのが出発した後の宇宙船の中、何とか途中でテンプルにもどるジェダイを探して連絡し、キーラと落ち合って託したということだ」 「そうだったんですか。ガレンこそ、驚いたろうな。連絡くれれば、後でも良かったのに――」 「ガレンたちの任務は極秘の内偵なので、通常のようにテンプルに連絡できないんだ。近くの宙域だけ暗号連絡してキーラを探し出したそうだ」 友人の大切な物を知らずに持ってきてあわてたガレンの姿が目に浮かぶようだ。任務中なのに、苦労して石を戻すよう手配してくれた。 「マスター・キーラにお礼を言います」 「明日、食堂で会えるだろう」 「ガレンとマスター・クリーにも今度会った時お礼を言います」 ああ、とクワイ=ガンが頷く。 「ところで、お前の話というのは何だ?」 「クワイ=ガン、少し話がある」 数日後、テンプルの回廊でメイス・ウィンドゥが呼び止めた。 「マスター達が噂していたのを評議員が耳にしたんだが、お前がオビ=ワンをパダワンにしたのは、たしかあの子が13歳になる直前だったな」 「ああ」 「その時は任務中だったので、お前はオビ=ワンの13歳の誕生日に只の石を贈ったのか」 「只の石と言われればそれまでだが、そうだ」 「で、その後、テンプルに戻って何かちゃんとしたものを贈ったか?」 「いや」 「オビ=ワンは何か言わなかったか」 「あれは、石を気に入って今も大事にしている。この前は無くしたと思ってけっこう落ち込んでいたほどだ。幸い見つかって大喜びしていた」 そう答えたクワイ=ガンは、長年の友人のメイスがあきれ顔で、さらに何かいいたげな様子に気付いた。 「何が言いたい?」 「他のマスターや評議員も贈物がそれと知って、オビ=ワンにいたく同情している」 「大きなお世話だ。私達がいいんだからほっといてもらおう」 「お前は、そう言うと思った」 かつて弟子を育てたマスターであり、かつ評議員でもあるメイス・ウィンドゥは溜息を付いた。 「友人として忠告する」 声を落として続ける。 「そんなだから、パダワンに愛想をつかされそうになった、と言われたくなかったら、今からでもオビ=ワンが大喜びする、ちゃんとしたものを贈ってやれ」 憮然とした顔のクワイ=ガンを残し、メイスは去っていった。 「マスター、どうかされましたか?」 眉間に皺を寄せて帰って来た師に、弟子は気遣わしげに問う。 「考え事をしているんだが、私一人ではいい知恵が浮かばない」 クワイ=ガンは何事か、という表情で己を見ている弟子の生真面目な表情を見て、頬を緩めた。 「これは、当のお前に聞くのが一番だな」 先ほどのメイスとのいきさつを話した。 「で、何でも欲しい物を言ってくれ」 「――急に、そういわれても」 それはオビ=ワンにとってもびっくりする出来事だった。こうして師とわだかまりなく過ごせる事こそ一番の望みだった。それがかなった今、特に欲しい品物など、急には思いつかない。 「何でもいい。私がかなえられる限りは」 そう、ですねぇ。とオビ=ワンが幾分思案した末に口に出した望みは、クワイ=ガンには思いも寄らないものだった。 「又、あのオニオングラタンが食べたいです。あんなに嬉しくて美味しかったのは初めてです」 クワイ=ガンの眼差しがふっとゆるむ。 「オビ=ワン」 目の前の少年を優しく見つめる。 クワイ=ガンは弟子のブレイドの先を手にとった。金褐色の長い房の先を指でもてあそぶ。 「私は、いやきっとお前も私も、互いを思いやることが、何にも勝ることなんだろうな」 「ええ、マスター」 「そんなことがわからず、回り道をしたこともあった」 「回り道をしたからこそ、それに気付きました」 「そうだな。私も師といっても、お前と一緒に成長している」 クワイ=ガンはブレイドを放し、大きな手で少年のばら色の頬をそっと包み込んだ。 弟子は照れてくすぐったそうにしながらも何も言わず、笑顔でクワイ=ガンを見返した。 信頼にみちた眼差し、どんな言葉より瞳は雄弁にそれを物語る。 師弟になってからおよそ2年。背も伸び、最近は子供っぽさが抜けて少年らしくなった弟子。が、真直ぐに見上げてくるブルーグリーンの瞳は変わらない。愛しいほどに正直で欲が無い。 「よし、望み通り、オニオングラタンを作ろう」 手を離し、クワイ=ガンが立ち上がった。 「マスターと一緒に作って食べたら、きっともっと美味しいと思います」 オビ=ワンも立ち上がって師に続こうとする。 「いいとも、できたら玉ねぎを切ってくれるか、パダワン。大量に刻ざむのは、けっこうきついぞ」 オビ=ワンは楽しそうに声を上げた。 「イエス、マスター」 END 物より思い出、なんですかねぇ。で、オビはやっぱり食い気と。 ちーのさまのキリリク。お題は『ポカポカあったかーいクワオビ話』どうもほのぼのクワ&オビ、しかも食いしん坊話になってしまいました。こんなんですみません。 |
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